- トップ
- EXPOLINEナレッジ
- 施設管理・予約
- なぜ施設の入退場管理は未だにアナログなのか?スタジアム・アリーナ・劇場・展示施設のバックヤード運営に残る課題とデジタル化の可能性
【本記事の結論】
- 来場者向けDXが進む一方で、施設運営を支える関係者の入退場管理は、紙やExcelによるアナログ運用が今なお多く残っている。
- アナログ管理は、情報の分散、受付業務の負荷増大、緊急時の在館者把握の難しさなど、運営面・安全面のリスクにつながる。
- 今後の施設DXでは、事前申請、承認フロー、QR認証、権限管理、在館者管理まで含めたバックヤード運営基盤の整備が重要になる。
スタジアムやアリーナ、劇場、展示施設など、多くの人が利用する施設では、来場者向けのデジタル化が急速に進んでいます。オンライン予約、電子チケット、キャッシュレス決済などは今や一般的な仕組みとなりました。
しかしその一方で、施設運営を支えるバックヤード領域では、紙やExcelによる運用が今なお数多く残っています。特に課題となるのが、出演者や選手、スタッフ、協力会社などの関係者に対する入退場管理です。
なぜこの領域だけがアナログのまま残っているのでしょうか。本記事では、施設運営における入退場管理の実態と課題、そして今後求められる施設DXの方向性について解説します。
来場者向けDXは進んでいるのに、裏方の運営は変わっていない
施設DXと聞くと、多くの人が思い浮かべるのは来場者向けサービスです。

例えば、
- オンラインチケット販売
- モバイル会員証
- キャッシュレス決済
- 施設アプリ
- 混雑状況の可視化
といった取り組みは、すでに多くの施設で導入されています。
当然ながら、こうした仕組みは利用者体験の向上に直結します。また、売上や来場者数といった成果指標とも結びつけやすいため、投資判断も比較的行いやすい領域です。
一方で、施設の裏側ではどうでしょうか。
大型スタジアムやアリーナ、劇場、展示施設には、来場者以外にも数多くの関係者が出入りしています。
例えばスポーツ施設であれば、
- 選手
- コーチ
- チームスタッフ
- メディア関係者
- 警備員
- 清掃スタッフ
- 設営会社
劇場やホールであれば、
- アーティスト
- 演者
- マネージャー
- 音響会社
- 照明会社
- 舞台施工会社
などが該当します。
こうした関係者の入退場管理は施設運営において極めて重要な業務ですが、実際には紙の名簿やExcelで管理されているケースも珍しくありません。
本記事でいう「入退場管理」とは
まず前提として、本記事で扱うのはチケット管理や一般来場者受付ではありません。
対象となるのは、
施設の運営を支える関係者の入退場管理
です。
具体的には、
- 関係者情報登録
- 搬入業者管理
- 入館申請
- 承認フロー
- 入館証発行
- QR認証
- 入退館履歴管理
- 在館者管理
などが含まれます。
施設によっては、
- 楽屋エリア
- バックヤード
- 選手専用エリア
- 機材搬入口
といった立入制限エリアが存在するため、単に受付を行うだけではなく、権限管理も重要な要素となります。
つまり、これは単なる受付システムではなく、施設運営や安全管理を支える運営基盤そのものなのです。
なぜアナログ運用が残っているのか
1. 施設ごとに運営ルールが異なる
施設運営の特徴は標準化が難しいことです。
同じスタジアムでも、
- プロ野球開催日
- コンサート開催日
- 地域イベント開催日
では運営方法が異なります。
また、劇場や展示施設でも施設ごとに運用ルールが異なります。
結果として、
「とりあえずExcelで管理する」
という運用が長年続いてきました。
2. 利用者が毎回変わる
企業のオフィスであれば社員証を発行すれば管理できます。
しかし施設運営では、
- 単発イベントスタッフ
- アルバイト
- 施工業者
- 協力会社
など、利用者が頻繁に入れ替わります。
そのため、
- 名簿作成
- 入館申請
- 入館証発行
を毎回繰り返さなければなりません。
この特殊性がシステム化を難しくしている要因の一つです。
3. 管理主体が複数存在する
施設運営には多くの関係者が関与します。
例えば、
- 施設所有者
- 指定管理者
- 運営会社
- 主催者
- 警備会社
- 施工会社
などです。
申請者と承認者が異なるケースも多く、運用フローが複雑化します。
その結果、
メール+Excel
という方法が今も広く利用されています。
なぜシステム化が後回しにされるのか
実はアナログ運用が残る理由は、運営の複雑さだけではありません。
大きな理由の一つが、
予算化の優先順位の低さ
です。
多くの施設では、
- チケット販売システム
- 会員管理システム
- キャッシュレス決済
- マーケティングツール
などが優先的に導入されます。
なぜなら、
- 利用者満足度向上
- 売上拡大
- 来場者数増加
などの成果が見えやすいからです。
一方で、関係者向けの入退場管理システムはどうでしょうか。
導入してもチケットが売れるわけではありません。
来場者数が増えるわけでもありません。
そのため、経営層や施設オーナーから見ると優先順位が下がりやすいのです。
しかし実際には、
- 受付業務コスト
- 名簿作成工数
- 入館証発行負荷
- セキュリティリスク
といった見えにくいコストが発生しています。
アナログ管理は無料ではありません。
むしろ長期的には施設運営コストを押し上げる要因になっています。
システムを探したくても、そもそも何を探せばよいかわからない
もう一つの特徴があります。
それは、
市場そのものの認知度が低い
ということです。
例えば施設担当者や建築施工会社が新たなシステムを検討するとき、
- チケットシステム
- 施設予約システム
- CRM
- 会員管理システム
であれば検索キーワードがすぐに思い浮かびます。
しかし、
- 関係者受付
- バックヤード管理
- 演者管理
- 搬入業者管理
- 楽屋入退館管理
についてはどうでしょうか。
実際にその業務を担当した経験がなければ、課題そのものが見えません。
多くの人は、
「裏方の受付業務がどう運営されているのか」
を知る機会がありません。
そのため、
- どのようなシステムが存在するのか
- どのような運用が一般的なのか
- どのような要件を整理すべきなのか
が分からないまま、検討自体が始まらないケースも少なくありません。
これは施設運営会社だけでなく、
- 建築施工会社
- PM会社
- FM会社
- 指定管理者
にも共通する課題と言えるでしょう。
アナログ管理によるリスク
アナログ運用には様々なリスクがあります。
情報の分散
名簿が、
- Excel
- 紙
- メール
に分散すると最新版が分からなくなります。
受付業務の負荷
イベントごとに、
- 名簿確認
- 本人確認
- 入館証発行
が発生します。
関係者数が増えるほど運営負荷も増大します。
緊急時対応の困難さ
災害や事故発生時には、
「現在施設内に誰がいるのか」
を即座に把握する必要があります。
しかし紙運用では、
- 記入漏れ
- 退館漏れ
- 名簿更新漏れ
などが発生しやすく、正確な在館者把握が難しくなります。
建築・施設開発段階から検討すべきテーマへ
近年は施設開発の考え方も変わり始めています。
従来は、
- 建築設備
- 電気設備
- セキュリティ設備
の整備が中心でした。
しかし今後は、
- 運営システム
- 利用データ管理
- 入退場管理基盤
まで含めて計画することが求められます。
施設完成後に、
「関係者管理の仕組みがない」
「紙運用しか想定されていない」
という課題が見つかるケースは少なくありません。
運営フェーズまで見据えたDX設計が重要になっています。
施設DXはバックヤードから始まる
施設DXというと、利用者向けサービスばかりに注目が集まりがちです。
しかし実際には、
- 関係者管理
- 入退場管理
- 運営フロー管理
- 在館者管理
といったバックヤード業務こそ、施設運営の品質を左右する重要な要素です。
来場者体験を支えるためにも、まずは運営基盤を整備する必要があります。
施設の安全性向上、運営負荷削減、将来的なデータ活用を実現するためにも、入退場管理のデジタル化は今後ますます重要なテーマになるでしょう。
EXPOLINEのノウハウを施設運営領域へ
デジタルエクスペリエンスでは、大規模展示会やイベント運営で培ってきた登録管理、受付管理、QR認証、権限管理などのノウハウを活用し、施設運営領域におけるDX支援にも取り組んでいます。EXPOLINEは来場登録や受付管理のためのプラットフォームとして発展してきましたが、その考え方や運用ノウハウは、スタジアムやアリーナ、劇場、ショールームなどにおける関係者管理にも応用可能です。
施設運営において求められるのは、単なる受付システムではありません。
- 事前申請
- 承認フロー
- QRによる入退場
- 権限管理
- 在館者把握
- 利用履歴管理
までを含めた運営基盤です。
施設価値を高めるDXは、表側だけでなく、バックヤードの最適化から始まるのかもしれません。
著者情報
EXPOLINE編集部
展示会、カンファレンス、オープンキャンパス、ショールーム、ミュージアムなど、人が集まり価値が生まれる場の体験設計とDXに関する情報を発信。予約管理や受付管理だけではなく、参加者体験の向上、データ活用、継続的なコミュニケーション設計までを含めた運営ノウハウを紹介しています。
EXPOLINEの導入に関してご不明な点が
ございましたらお気軽にお問い合わせください





