【15年ぶりのシステム刷新】アンケート回答数137%増とNPS向上を実現。大塚商会が手にした「データ活用の土台」と次なる挑戦

【15年ぶりのシステム刷新】アンケート回答数137%増とNPS向上を実現。大塚商会が手にした「データ活用の土台」と次なる挑戦
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1つの企業が主催するBtoBイベントとしては国内最大規模となる、株式会社大塚商会様の「実践ソリューションフェア」。東京・大阪の2会場で合計1万人を超える来場者を迎えるこの巨大プロジェクトは、1年の始まりにお客様へ「ビジネスのヒント」や最新の効率化情報を提供し続けるという、同社にとって非常に重要な社会的意義を持つイベントです。

しかし、2026年の「実践ソリューションフェア」は、15年にわたって現場を支えてきた既存のシステムが保守期限(EOS)を迎えることとなり、長年続いた運用体制を根本から刷新するという極めて挑戦的なミッションの「大本番」でもありました。同社は、2025年10月に開催された「ビジネスソリューションフェア」をファーストステップとして、新システム「EXPOLINE」のプレ運用を実施。そこで得た手応えと課題を丁寧にブラッシュアップし、いよいよ2026年2月、1万人を超える 規模の「実践ソリューションフェア2026」という大舞台を迎えました。

RFID(無線タグ)からArU-code(2次元コード)への移行により、長年の課題だった入場証の事前郵送を廃止。イベント直前まで申し込みを受け付けられるようになり、機会損失を防ぎつつ当日の受付混雑を緩和するスムーズな運用を実現しました。さらに、その場で結果がわかる抽選機能付きアンケートを導入したことで、回答数の大幅な増加とNPS(ネットプロモータースコア)の向上といった目覚ましい効果を生み出しています。

事前の社内調整では「他社なら2〜3年計画でないと無理だ」と言われたほどの激動のシステム刷新プロジェクトを完走した今、大塚商会様が手にした確かな成果と、さらなる顧客体験の向上を目指す次なる展望に迫ります。


企業・担当者紹介

■クライアント:株式会社大塚商会
IT機器やソフトウェア、サービスの提供を通じて、お客様のビジネスをトータルにサポートする日本を代表するソリューションプロバイダー。毎年2月に開催される「実践ソリューションフェア」は、一年のビジネスのヒントや最新情報をお客様に提供する、同社にとって極めて重要な社会的意義を持つフラッグシップイベントです。

■ご担当者様(以下、敬称略) 
大塚 祐 氏(MMプラットフォーム部イベント企画1課 課長) 
佐野 歩美 氏(MMプラットフォーム部イベント企画2課)

■システム提供:弊社イベントDXユニット(村田) 
イベントの来場管理、受付システム「EXPOLINE」を提供。大塚商会様独自システムとの高度なデータ連携(25種)と、大規模来場者のリアルタイム管理を実現しました。


15年続いた運用体制からの脱却。過去最大級の来場者を迎えた「大本番」を終えて

― 1万人超が来場する「実践ソリューションフェア2026」の大本番を無事に終えられた、今の率直なご感想をお聞かせください。

大塚:私がこのプロジェクトに着任する前の15~20年ほど、当社はほぼ同じ体制、同じシステムでイベントを運用し続けてきました。そのため、今回初めての大規模なシステム入れ替えには、私自身も、そして社内の多くの人間も色々な不安を抱えていたのが正直なところでした。しかし蓋を開けてみれば、昨年と比較しても大変多くのお客様にご来場いただき、システムも無事に稼働して大成功を収めることができました。3月上旬の社内の総括会議でも、経営層から「本当に良いフェアだった」と高い評価を受けており、まずは非常に安心しています。

佐野:大成功の裏には、当社のSPR(顧客管理&営業支援システム)との複雑なデータ連携という非常に高いハードルがありました。事前の社内協議でも「1年ではとても無理。2〜3年計画でやらないと不可能だ」と考えていたほどです。経営層からは「半年でなんとかしてほしい」とプレッシャーがかかる中、本当に実現できるのかという不安は常にありました。

「他社のベンダーなら『無理です』と匙を投げていたレベルの複雑な要件を、
EXPOLINEのチームはわずか半年で形にしてくれました。
この伴走力と圧倒的な開発力には、本当に感謝しています」

村田:大塚様のチームが、個人情報をシステムで扱うための厳しい社内審査や委員会へのプレゼンなど、まさに「茨の道」とも言える社内調整を粘り強く進めてくださったからこそ、我々も開発にフルコミットすることができました。お客様とシステム側がまさに「ひとつのチーム」として動けたことが、短期間での成功の鍵だったと感じています。

(左から)株式会社大塚商会 佐野 歩美 氏、大塚 祐 氏

RFIDからArU-code運用へ。事前郵送を廃止し、集客の「機会損失」を解消

― 長年続いていたRFIDでの運用から、ArU-code(2次元コード)へ移行したことで、どのようなメリットがありましたか?

大塚:以前のRFID(無線タグ)を用いた運用では、ICチップを埋め込んだ入場証を事前にお客様へ郵送する必要がありました。そのため、郵送スケジュールの都合で、イベントの2週間前には参加申し込みを締め切らざるを得なかったんです。イベントの集客というのは、直前の1週間で最も伸びる傾向があります。この早期の締め切りは、本来であればもっとご来場いただけたはずのお客様を逃してしまう、大きな機会損失を生んでいました。

佐野:今回、これまで使用してきたRFIDを思い切って廃止し、ArU-code(2次元コード)を用いたマイページからの入場証発行へと運用を切り替えました。これにより、長年の課題だった締め切り問題をクリアすることができたのは非常に大きな成果です。

「入場証の事前郵送がなくなったことで、イベント直前まで事前申し込みを受け付けられるようになり、機会損失を防ぐと同時に、当日の受付の混雑緩和にも大きく貢献しました

― お客様自身の操作が増えることに対する、現場での苦労や新たな発見はありましたか?

佐野:初めてのシステムということもあり、お客様の流れを想定して現場の運用に落とし込むのは非常に大変でした。これまでは受付でこちらから入場証をすぐにお渡しできていましたが、今回はお客様ご自身で事前にお申し込みいただいたり、PCから情報を入力していただいたりと、ご自身で作業をしていただく部分が増えたからです。

大塚:当社のイベントは「お客様ファースト」の精神が強いため、お客様に事前の印刷やスマートフォンの操作を求めた際、どこまでスムーズに対応していただけるかが未知数でした。お客様のITリテラシーの幅が広いため、システム側で高いリテラシーを求めすぎると、現場で混乱が生じるリスクがあったのです。

佐野:あらゆるリスクやキャパシティを想定して現場のサポート体制を準備しましたが、結果的には多くのお客様がご自身でスムーズに準備してくださり、営業担当のサポートも相まって大きなトラブルなく運営できたことは、私たちにとっても新たな発見でした。


アンケート回答数が前年比137%へ増加。エンタメ性が生んだNPS向上の成果

― 今回新たに実装した「抽選機能付きアンケート」は、どのような成果をもたらしましたか?

佐野:今回はタブレット端末回答し、その場で抽選結果がわかる仕組みを新たに取り入れました。最後にQRコードでお客様のIDを読み込んでいただくフローなどがあり、アンケート回答の列が少し混雑してしまう場面もあったのですが、お客様からクレームが出ることはなく、皆さまスッキリとした笑顔で帰られていたのが非常に印象的でした。

大塚:この抽選機能の効果は絶大で、アンケートの回答数が劇的に増加しました。東京会場では昨年の約5,000件から7,000件超えへ、大阪会場でも約2,500件から3,000件超えへと、前年比で約137%を超える圧倒的な数のお客様から貴重な声をいただくことができました。

『回答すればその場で何かが当たる』というエンターテインメント性がお客様の満足度を押し上げ、実際にNPS(ネットプロモータースコア)も昨年より上昇するなど、フェア全体を表す数字につながったと感じます。


「他社なら2〜3年かかる」システム連携を半年で実装。強固な「データ活用の土台」が完成

― 裏側ではSPRとの複雑なデータ連携もありました。システムの運用面で、社内にどのような定性的な変化が生まれましたか?

村田:今回、裏側で最もハードルが高かったのが、大塚商会様のSPRとのデータ連携です。EXPOLINEに登録された来場者データを、最終的に25種類ものCSVファイルにマッピングして出力しなければなりませんでした。通常のシステム連携とは桁違いの複雑さで、お話を伺った時は正直面食らいました。どういうデータを出せばSPR側に正しく取り込まれるのか、大塚様と一緒に一つひとつ仕様を紐解き、クレンジング(データの自動成形)のルールをマッピングしていく作業にたっぷり2ヶ月は費やしましたね。

大塚:ええ。もしあの複雑な仕様すり合わせの作業を自分たちだけでやろうとしていたら、大事故になっていたと思います。村田さんたちと一緒に泥臭くやり取りを重ねたことで、ようやくシステム連携が形になりました。

佐野:また、展示ブースで商材を案内する際のシステム運用も大きく改善されました。以前は、案内する商材のマスターデータをExcelでまとめ、システムに手動で入れてもらっていたんです。しかし今回はEXPOLINE上でデータを一元管理できるようになったため、各展示部門の担当者が自分たちで管理画面から直接、商材の選択肢を追加・修正できるようになりました。事務局を通さず現場でスピーディーに更新できるようになったのは、見えないコストを削減する大きな進歩です。

大塚:以前はセミナーの申し込み状況もリアルタイムで把握できず、申し込み終了後に手動で「当選・落選」を判定する非常に重い作業が発生していました。今回はクラウド上で定員管理ができるようになり、現場の作業負荷が大幅に軽減されています。

何より、これまでバラバラだった入力場所が統合され、システム上でリアルタイムにデータを可視化できるようになった。営業活動や次のアクションに向けた『強固なデータ活用の土台』が整ったことが、今回の最大のビジネス成果です


来場者にさらなる「感動」を。1万人を超える規模の成功が導く次なる展望

― 今回の成功を土台として、今後のイベント展開やEXPOLINEに期待することをお聞かせください。

 佐野:1万人を超える規模のフラッグシップイベントで確かな成果を残せたため、今後は今年度の「ビジネスソリューションフェア」など、各地域で開催されるイベントへとシステムを横展開していく構想が進んでいます。これまでは地域ごとにデータの取得がバラバラだった部分もありますが、我々が一元管理することで浮いた工数を、よりお客様への付加価値に還元していきたいと考えています。

大塚:今後は、会場にお越しいただいたお客様に持ち帰っていただくデータをもっと充実させていきたいです。例えば、ご来場者様専用のマイページに、当日ご覧いただいたソリューションのレポートや資料を即座にダウンロードできる仕組みを作るなど、今以上の感動体験を提供したいと考えています。ネットワークやインフラ面などの課題はありますが、EXPOLINEの拡張性があれば実現できると信じています。

村田:それは非常に面白いですね。実は弊社でも今、UWB(超広帯域無線)技術を使った研究開発を進めています。これはイベント会場の中でお客様が「どのブースの、どのテーブルで、何秒立ち止まったか」を10cm単位の精度で行動ログとして取得できる仕組みです。これを活用すれば、大塚様が構想されている「即座に最適なソリューションレポートをお渡しする」という世界観にも大きく寄与できると考えています。

大塚:まさにそういう世界観を目指したいんです! EXPOLINEなら、そうした最新技術との連携も柔軟にできるはずです。これからも、お客様に「感動」を与えられるようなイベント体験を、一緒に作り上げていきたいですね。

デジタルエクスペリエンス株式会社 村田

大規模イベントのDXに悩む企業へ。自社の運用に寄り添う「伴走力」の真価

― 最後に、大規模イベントのDX推進に悩む他企業の担当者様へメッセージをお願いします。

佐野:当社のフェアは、営業の動員ルールや社内規定など、しがらみが多い特殊なイベントです。EXPOLINEのチームはそうした事情を深く汲み取って寄り添い、他社の事例も交えながら「こんな感じでどうですか」と最適な落とし所を何度もご提案してくれました。打ち合わせの中で「ネクストアクション」という言葉が飛び交うほど、一緒になって熱くプロジェクトを進めていただけたことに感謝しています。

大塚:イベントのDXに悩んでいる企業様は多いと思いますが、決められたパッケージを選ぶか、自分たちで一から仕組みを作り上げていくかの正解がわからず、苦労されるケースがほとんどだと思います。我々も何十年とイベントをやっていても、手探りの連続でした。

自分たちの運用に合わせてどういう仕組みを作り上げていけばいいか迷っている企業様にとって、共に正解を探し、泥臭く伴走してくれるEXPOLINEは非常に心強い存在になるはずです。


編集後記(執筆者より)

今回の第2弾インタビューを通じて最も印象的だったのは、15年にわたって定着していた「当たり前」の運用を根本から見直しながら、新たなシステムの導入を完遂し、見事に1万人を超える規模の大本番を成功に導いた大塚商会様の熱意と遂行力です。

厳しい社内審査や複雑な25種のデータ連携など、「他社なら2〜3年かかる」と言われたハードルを、大塚商会様とEXPOLINEがひとつのチームとなって泥臭く乗り越えたプロセスは、同じように大規模イベントのDXに悩む多くの企業にとって大きな勇気となるはずです。

「来場者にさらなる感動を与えたい」と語るお二人の視線は、すでに次のステージへ向けられています。データ活用の土台を手にした大塚商会様が、今後どのような新しいイベント体験を創出していくのか。その飽くなき挑戦を、これからも伴走者として支援し続けてまいります。