顔認証で未来のイベントはこう変わる 【NEC×スプラシア対談】

このたびNECとスプラシアはパートナーシップ契約を締結しました。
顔認証を試してみたい、興味があるという読者様は、ぜひ以下までお問い合わせください。
https://www.expoline.jp/contact/


2024年6月10日、日本電気株式会社(以下NEC)のバイオメトリクス・ビジョンAI統括部の安藤佑樹氏と、イベントのパートナーとしてITプロダクトを提供している弊社の中島、水口による対談を行った。

対談のテーマは「顔認証技術のイベント活用 今とこれから」。

NECの顔認証システムは空港などで活用されており、2025年に開催される大阪・関西万博の入場管理や店舗決済にも採用が決定している。また、NEC主催の、あるイベントでは、オンラインセミナーの管理・運用にスプラシアのEXPOLINEを採用するとともに、顔認証を連携させて、秘匿性の高いコンテンツ配信を行った。

顔認証で、未来のイベントはどう変わるのか。現状のイベントの課題と顔認証の活用について語られた対談の様子を、今回はお伝えする。

現状のビジネスイベントの課題

DX化を進めて
効率化、体験価値の向上、成果の最大化を

水口
最初にビジネスイベントの課題についてお話しできればと思います。
まず「イベントに求められる価値」が変化してきていると感じていまして、以前よりイベントに参加する目的や目に見える「成果」があることを、主催者も来場者も重視するようになってきています。

例えばこちら、弊社がエバーリッジさん主催のDX総合EXPOに出展した時の出展者向けの管理画面なのですが、リアルタイムで来場者の数やその属性、他のブースとの比較などが表示されています。

このような情報があると「イベントが全部終わってから反省する」のではなく、リアルタイムの結果を見てイベント期間中に「訪問数が多い他社のブースを参考に自社のブースを改善する」など、アクションを起こしてPDCAを回せるんですね。

これってコロナ前とかだと全然考えられなかった話で。何ならイベントが終わった後に、来場者数の数字だけ報告を受けることも多かった。

スプラシアが今チャレンジしていることの一つが、こういったところです。主催者から求められていることを、数字や目に見える形でご提供していく。

また、来場者がイベントに参加した価値をより実感できる、見えるようにすることも重要です。

例えば、たくさんのカタログを持って帰るだけではなく情報を集約してサマリー化したものが主催者から提供されるとか、「来場者の体験価値の向上」も、我々が実現していかなきゃいけないと考えていることの一つです。

中島
国内展示会は、集客数を増やすために海外からの集客にも力を入れていています。

となると海外からの来場者も簡単に会場に入れる仕組みが必要ですが、簡単に入れるということはリスク管理の重要性も高まります。

海外の展示会ですと、例えばアメリカの展示会だと大陸を1日2日かけて移動して来場したりするので、顔認証の登録も当たり前にしてくれますし、そこまでするくらい展示会に価値があるとされているから、来場者はいろいろな手続きに非常に前向きに取り組んでくれます。

しかし、日本では東京在住なら展示会に1時間で行けてしまいますし、毎週開催されてるので来場者の立場が強いというか、手間が多いと来てくれない。

このようなUIや体験を容易にすることなどを含めて、NECさんの高度な技術を活用していけるといいなと。

そもそもアメリカなどの展示会は商談をするために行くものだったりするんですが、日本の展示会ではあまり商談をせず、情報収集が主な目的になっている場合も多い。

でも、出展している側の企業からすると当然ながら商談までいけたほうが嬉しいわけで、このギャップも課題といえます。

NECの顔認証技術とは

安藤
NECでは、世界No.1(※1)の高精度な顔認証をベースに、デジタルIDで入場管理だけでなく、決済、おもてなし、端末ログオンなど、さまざまなサービスをご提供しています。

たとえば、成田空港では航空機に搭乗するお客様が所定の手続きで顔写真を登録すれば、チェックインしたり、手荷物を預けたり、搭乗ゲートを通ったり、これまで時間のかかっていた手続きを簡略化して進むことができます。
イメージ画像(スプラシア作成)

 

今までは係員がゲートにいて搭乗券やパスポートを確認していたので長蛇の列ができていたところを、顔認証によりユーザーの利便性が向上しました。

同様の顔認証システムは世界中の様々なところで使っていただいているサービスなのですが、この「チェックインして何かサービスを受ける」という点は、イベントと一緒なのではと思っていまして。

また、現状は空港に行って現地で顔情報を登録する形でサービスを提供していますが、事前に自分のモバイルアプリから登録できるサービスの実証実験も、成田空港様と航空会社様と一緒に今年3月に実施させていただきました(※ 2)。

2025年の4月から始まる大阪・関西万博でも、NECの顔認証システムを使っていただく予定です(※ 3)。

チケットの購入と併せて事前に顔情報と決済方法を登録いただければ、ゲート入場と店舗決済を顔認証で行うことができるのですが、登録者数はNECの国内における顔認証提供事例として最大規模となる120万IDを想定して準備を進めています。

このレベルで導入が計画されていますので、今後大規模なイベントについても、NECの顔認証は使っていただけると考えています。

顔認証は、入場時のなりすまし防止にも有効です。QRコードのみだと、貸し借りされたチケットでも会場に入れてしまいますが、QRコードをかざしつつ顔で認証するという2段階の認証を行うことで、なりすましを防ぐことが出来ます。

大阪・関西万博は特に国際的なイベントですし、安全・安心な運営が重要になってくると考えています。

また万博独自の電子マネー「ミャクペ!」に登録すれば、スマホやカードがなくても、顔認証による手ぶらでの店舗決済が可能です。

中島
決済に関していうと、アメリカだとクレジットカードがメインで、中国などアジアはQRコード含めた電子マネー全盛という感じですが、これからは顔認証が増えていくんでしょうか?

安藤
決済方法には長所短所があるのですべての場面で顔認証、ということにはならないのでは。

やはりイベントとかテーマパークとか、ホテル、 スタジアム、コンサート会場みたいな、ある程度「入口があるところ」が最初は中心になると思います。

入場したら「いつもありがとうございます」とか、「ここからは顔パスですよ」というような、“顔認証を使用したおもてなし”を受けられる世界が始まるのかもしれません。

※1
NECは、米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ベンチマークテストでこれまでにNo.1を複数回獲得しています。
https://jpn.nec.com/biometrics/face/history.html
(NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません)

※2
NECプレスリリース:顔認証で搭乗手続きができる「Face Express」の利用登録を旅客のスマートフォンで行う実証実験を成田空港で実施しました (2024年5月10日)
https://jpn.nec.com/press/202405/20240510_02.html

※3
NECプレスリリース:大阪・関西万博の店舗決済と入場管理に顔認証システムを導入 (2024年5月23日)
https://jpn.nec.com/press/202405/20240523_02.html

3. 顔認証で未来のイベントはこう変わる

受付のいらない入場ゲート

安藤
NECでは、顔認証で入場するイベントを、いくつかやり始めています
今後は受付すらない、「登録して、ただ通過するだけでいい」という世界を描こうとしています。
こちらに映しているのは「ゲートレス生体認証」という開発中のソリューションになります。
歩いてくる人たちに対し、1つのカメラで1分間に100人以上を認証していくというもので、チケットを持ってない人がわかるように画面表示することでスタッフさんに気づかせたりすることも出来ます。

今まで一人一人並んでチェックしていたところを、受付がなくなるだけで、複数人が同時認証をしていくことができますので、人の流動性が格段に上がります。
ゲートレス生体認証システムの利用イメージ

 

パーソナライズされた情報の提供

NECのショールームでは、プロジェクションマッピングと連動をして足元にその人のもつチケット情報のような、属性情報を映すようなことができるようになっています。
例えば、映画館や劇場で「何番スクリーンに行ってください」と足元に表示してご案内をしたり、「チケットが確認できませんので、インフォメーションへお立ち寄りください」と表示したりとか、ができます。
また、ゴルフ場など会員制施設でしたら、VIPの人が来たということが即座にわかって、おもてなしにも活用いただけます。

使い方はいろいろあると思いますが、これらがイベント会場に導入させると、人の流動性が格段に上がりますし、入口と出口だけではなく節目節目にこういうものを設けることで「誰がどこを通った」など、いろいろな情報が取れるようになってくるのではないかと思います。

水口
来場者さんからすると、スマホすら使わずパーソナライズ化された情報が出てくるのは、さきほど話した「体験価値が上がる」という観点でもすごく面白いです。
出展者さんからすると、誰がブースにどれくらい滞在していたかとか、そういう情報まで取れるようになっていくと、すごくリッチなデータになっていくなと感じますね。

中島
この技術は実際のイベントでも使っているんですか?

安藤
まだ社内のイベントのみで採用している段階ですが、ショールームでお見せしているので製品化は近いです。

セキュリティ

中島
メガネやマスクをしていても大丈夫なんですか?

安藤
大丈夫です。このケースだと上から撮影しているので、帽子を深く被ると難しいですが、通常は目の周りの顔情報があれば、認証することができます。

水口
写真でもいけるんですか?

安藤
顔認証では、必要なセキュリティレベルに応じて、なりすまし対策を行います。なりすまし対策をしていないと、写真でも認証できてしまう場合があります。
なりすまし対策には色々ありますが、カメラの技術を活用したものがよく使われます。
それ以外にカメラの前で人にしかできない動作をさせることで人と判別する方法や、AIを使うものもあります。

中島
セキュリティの観点でいうと、ライトなものから 飛行機の搭乗など厳密なものまで「 塩梅を調整できる」ということですね。

安藤
セキュリティレベルや用途、利便性を考慮して、最適な製品・サービスを組み合わせて活用いただくことが重要です。

中島
他に面白い使われ方はありますか?

安藤
映像分析技術を用いると、その人がどの方向へ行こうとしているのか判断できるのですが、右に行こうとしているから右のドアをカシャンと開ける、といったこともできます。
あるいは、間違って左に行こうとしていたら「右ですよ」とアナウンスする、ということもできる。

中島
そういえば僕ら、アニメに出てくるようなスカウターを顔に付けてもらって、道案内しようと思っていたんですよ(笑)。

安藤
我々も顔認証や映像分析をVRと組み合わせる案はありました。「確認する側」がゴーグルをつけておいて、チケットを持っているかどうかで表示を変えるんです。足元に表示しても、誰に対しての表示なのか分かりづらいですから。

中島
それはすごくいいですね。スタッフさんがケアしやすくなる。

道案内とガイダンス

中島
広い展示会場では、自分が探しているものがどこにあるか、分かりやすい状態であってほしいものです。
さきほども、自分の足元に「こっちです」と指し示してくれるといいねと話していました。

安藤
でも、自分だけに見えるほうがいいですよね。

中島
そうですね。今、頑張ってリコメンドとかというところに、それこそAIを使ってみたいなことをやろうとしていて。LLMを持っている会社さんと組んだりしているんですよ。
だから今後も、顔で個人を特定し、AIで解析し、何らかのことに活用していくというのは往々にしてあると思うんです。
そこまでやると、来場者のメリットも大きくなってくるので、顔認証も受け入れてもらいやすくなるのではと考えています。

安藤
あと、海外の展示会では、翻訳をして欲しいなと思いました。

中島
「耳」でもいいですよね。美術館で配られるイヤホンのようなもので、音声でブースへ道案内してくれるとか。

安藤
ブースの前に立ったら、自動で会社や展示しているソリューションの説明が母国語で流れるというのも、いいかもしれないですね。

中島
言葉の壁で伝えたいことが伝わらないのは機会損失ですからね。顔認証によって自動で使用言語を特定してくれたらいいですよね。

水口
入場のためだけに顔認証を活用するより、入場以外のところでも何かメリットがあれば導入の心理的なハードルが下がるかもしれませんね。

NECとスプラシアでパートナーシップ契約を締結

安藤
NECは2024年5月30日にDXの事業ブランドとして、「BluStellar(ブルーステラ)」を発表しました。

これは製品やサービスの提供によるお客様課題の解決を目的にするのではなく、これまでNECが培ってきた技術、人材、実績や知見、製品・サービスをすべてBluStellarに結集し提供していくことで、お客様のビジネス変革を加速させ、新たな価値創造へ導くことを目的としています。

それに伴いAIコンサルタント約100人を設置、社内のDX人材12,000人を目指すと共に、約400社のパートナーとビジネスを強化・拡大します。

出典:https://jpn.nec.com/delight/partnerprogram/index.html

中島
今回、スプラシアもNECとパートナーシップ契約を締結させて頂きました。
NECさんが今まで培ってきた技術と、スプラシアのノウハウが合わさることでお客様に新しい価値を提供していければと思っています。

 


このたびNECとスプラシアはパートナーシップ契約を締結しました。
顔認証を試してみたい、興味があるという読者様は、ぜひ以下までお問い合わせください。
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