目次
新型コロナウイルスの拡大によりさまざまな学会が中止・延期を余儀なくされる中、注目を集めているのが「オンライン学会」という新しい開催方法です。すでに多くの学会がオンラインで開催されているため、興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、当記事ではオンライン学会のメリットや開催時の注意点などを紹介していきます。
普及が進む「オンライン学会」とは?
そもそも「オンライン学会」とは、どんなものなのでしょうか。そこでここではオンライン学会の概要や特徴について説明していきます。
web上で完結する学会
オンライン学会は、リアル開催の学会のように実際に会場に集まるのではなく、参加者がそれぞれの自宅や勤務先などからweb会議ツールやビデオ会議ツールを通して学会に参加するのが特徴です。そんなオンライン学会の開催形式は様々で、動画を使わず抄録・発表スライドなどの公開のみのパターンもあれば、ライブ配信・発表動画のオンデマンド配信などのパターンもあります。
学会を開催する際に、企業からの協賛金を募集する例は少なくありません。オンラインでの協賛企業の募集は難しいように見えますが、出展企業に動画配信の時間の割り当てやサイト上での広告掲載などにより、
従来のような協賛企業の募集が可能となります。
学会の研究発表ではポスターセッションを取り入れている所もあります。
ポスターセッションとは発表者が研究開発の成果や内容などを1枚のポスターにまとめ、展示したポスターの前で発表を行う手法です。同じ部屋で複数人が同時に発表を行い、参加者は興味のあるテーマの発表を聞きに行きます。発表者と参加者の距離が近いためコミュニケーションを取りながら進められるのが特徴です。こうしたポスターセッション、ポスター展示にはZoomなどのWeb会議ツールを活用することで対応ができます。
また学会では発表者に対する質問などコミュニケーションの機会も多いですが、チャット機能や投票機能などを利用すれば双方向コミュニケーションも可能です。
オンライン学会の開催事例
オンライン学会の開催事例として「言語処理学会第26回年次大会」と「第34回日本助産学会学術集会」の2つを紹介します。
言語処理学会第26回年次大会はセッションごとに用意したWeb会議ツールで口頭発表を行い、スライド画面も共有する形で発表が行われました。オンラインで質疑応答の機会を設けたり、ポスター発表はそれぞれの発表毎に設けたWeb会議ツールで行ったりと、質疑応答やポスター発表もオンライン上で完結させています。更に学会後はオンライン懇親会も開催するなど、オンラインの機能を最大限に活用して学会を成功させています。
第34回日本助産学会学術集会は、IDとパスワードを発行し、参加者が専用サイトへログインしてプログラムを視聴・受講する形式で開催されました。動画視聴のほかに、テスト受講や修了証の発行の機能を有しておりリアル開催と遜色のない内容を実現しています。プログラムの配信期間も長く、参加者が都合の良い時間に視聴できる環境が整えられました。
意外と多いオンライン学会のメリット
オンライン学会には従来の形式では得られないメリットが数多く存在します。主なメリットを5つご紹介していきます。
その1.コストを削減できる
オンライン学会のメリットの1つが、開催に伴い発生するコストを削減できることです。
まず、会場使用料がかかりません。例えば100名以上の参加が見込まれる大規模な学会の場合、会場使用料が数十~数百万万円かかる可能性があります。
オンラインで開催すれば、大規模な会場を使う必要がなくなるので大幅なコストカットが可能です。もちろん、配信システムの利用料などがかかる場合もありますが、それでも会場使用料よりは安いことが多いです。また、会場までの交通費や宿泊費、人件費や飲食費も不要となります。
リアル開催の学会では抄録やパンフレットなどの資料を参加者に配布する必要があるため、コピー代などの印刷費が発生します。オンラインにして資料をサイト上で公開し、ダウンロードできるようにすれば、抄録やパンフレットの印刷費もかかりません。リアル開催では学会の規模が大きいほど会場使用料や人件費、印刷費も大きくなるので、オンラインに変えた時のコスト削減効果も大きくなります。
その2.より多くの参加者が見込める
より多くの参加者が見込める点もメリットの1つです。
従来の学会は開催地や開催期間が限られているため、参加しづらい人も多くなります。一方、オンライン学会なら会場へ直接足を運ぶ必要がなく、端末さえあれば視聴できるため参加者も気軽に参加しやすくなります。更にアーカイブやオンデマンド配信により、時間にとらわれず都合の良いときに参加できる点も魅力です。このように場所や時間を問わず、いつでもどこからでも参加できるオンライン学会なら、従来よりも幅広い層から集客できるため、より多くの参加者が見込める訳です。
例えば、交通の便を考慮して都市部でしか学会を開催していなかった場合、オンライン開催は海外・地方にいる方の参加が見込めます。また、共働きで子育て中の家庭や身内の介護が必要な家庭などは、学会参加のために自宅を空けることが難しい可能性があります。好きな時に視聴できるオンデマンド配信なら、子育てや介護などで参加が難しい人も参加しやすくなるでしょう。
その3.制約が少ない
制約が少ない点もメリットとして挙げられます。
リアル開催の学会では、会場の収容人数以上の参加者は受け入れられません。大量の参加者を受け入れられるように大きい会場を用意すると、赤字のリスクが高まります。こうした従来の学会と違い、オンライン学会は会場のキャパシティに制限がありません。そのため、赤字のリスクを減らしつつ、大量の参加者を受け入れることが可能となります。
また、天候や自然災害、交通状況などによって会場に集まれず開催が不可能になることもありません。
リアル開催の学会では会場の設営、会場での受付や誘導などを行うために多くの運営スタッフを準備する必要があります。一方オンラインなら配信スタッフは必要なものの運営スタッフを最小限に抑えた開催が可能となります。また従来の学会は参加者のスケジュールや会場の使用料などの都合で、長期間の開催は困難でした。オンラインではサイトにアーカイブ動画を残しておけばリアルの学会では難しい長期間の開催も可能となります。
その4.管理やフォローがしやすくなる
オンライン化することで、管理やフォローがしやすくなるというメリットも生まれます。
なぜなら、オンライン上で完結することにより、参加者一人ひとりのデータを把握しやすくなるからです。申し込み受付や参加者情報、演題登録などの管理や、参加者の行動履歴を収集・分析ができるシステムもあるため、これらを利用することでスムーズな管理・運営が可能になります。更にアンケート機能やチャット機能など、フォローアップに役立つ機能もあるので、学会参加者をフォローしやすくなります。
参加者の属性や行動履歴、アンケート結果などを分析すれば、イベントの改善点が見つかりやすくなるので、次にオンライン学会を開催する際により効率的な運営が期待できます。参加者の興味関心度合いを可視化できるようになるのは学会をオンライン化する最大のメリットと言えるでしょう。
その5.参加者の素直な反応を確認できる
最後に紹介するメリットは参加者の素直な反応を確認できる点です。
直接対面できる、リアル開催の学会の方が参加者の反応を確認しやすいという人もいるかもしれません。しかし従来の学会では、参加者は一方的に話を聞く形式が多く、リアルタイムの素直な反応が見えづらい側面もありました。更に規模の大きい学会では、なかなか発言のチャンスもありません。一方でオンライン学会ではチャット機能やコメント機能、投票機能などを活用することで、参加者一人ひとりが気軽に発言しやすくなります。
直接の会話では相手の表情や視線、声色などの反応を気にして自分の意見を率直に言えない可能性もあります。オンライン学会は直接の会話ではない上に視線も気になりにくいため、建前ではない素直な質問や意見を得やすいのです。またオンライン学会は自宅などリラックスした環境から参加できることも、率直な意見が期待できる要因となります。
オンライン学会の注意点
メリットの多いオンライン学会ですが、一方で注意したい点もあるので紹介していきます。
臨場感を得にくい
オンライン学会の注意点として、臨場感を得にくい点が挙げられます。
リアル開催の学会では参加者同士が気軽に交流できる機会として、学会後に懇親会が開かれる場合があります。しかし画面越しの参加となるオンライン学会は、他の参加者と交流する時間や機会がありません。
更に参加者は基本的に自宅などからひとりで参加するため、学会に参加しているという実感を得にくい傾向があります。マッチング機能など参加者同士の交流を促す施策の検討が必要となるでしょう。
発表者にとって参加者の反応は、自身の発表内容の手応えを図る重要な指標となります。しかしライブ配信ではカメラをオフにする参加者も多いため、参加者の反応が分からず、発表者が手ごたえを感じられないこともあるのです。参加者の反応が少ないと盛り上がりに欠けた学会になる可能性もあるので、臨場感を演出できる工夫や機能の導入などが必要となります。
安定した通信環境が必要
安定した通信環境が必要な点も注意点の1つです。
通信環境が悪いと動画が遅れたり、止まったりする恐れがあります。こうした配信トラブルは学会の進行だけでなく、参加者の集中力まで邪魔してしまうため、絶対に避けたいところです。特にライブ配信の場合、主催者側だけでなく参加者側も安定した通信環境が必要になります。
主催者側で安定した環境を整えるには、高性能のパソコンや有線接続、信頼できるサーバーを利用するなどの対策が必要です。またインターネット回線には専用回線と共用回線の2種類があります。専用回線は1つの回線を1社(1ユーザー)が独占して使用できる回線で、共用回線は複数の企業(ユーザー)が1本の回線を共用する回線です。共用回線は配信以外の業務や異なる会場でも同じ回線が使用されるため、アクセスが集中すると通信速度が遅くなるというデメリットがあります。そのため多数の参加者が予想されるライブ配信を行う場合は、専用回線の方が通信環境が安定します。配信会場の通信環境は事前によく確認をしましょう。
また参加者側の通信環境を安定させるために、主催者側は事前に参加者へ「推奨する視聴環境」を伝えておくことも大切です。参加者の視聴環境はコントロールが難しい点でセキュリティの問題などでどうしても視聴ができないといったことも起こり得ます。参加者対応の事務局はもちろんサイト上での視聴が不可能な際の対処も事前に検討しておきましょう。どれだけ環境を整えてもトラブルのリスクはゼロにならないので、当日はネットワーク障害や機材トラブルなどに備え、対処できるスタッフをそろえておくことも重要です。
オンライン配信のノウハウが必要
オンライン配信のノウハウが必要な点も注意点として挙げられます。
まず、オンライン学会は従来の形式の学会とは開催のノウハウが大きく異なります。例えば長時間パソコンやスマホの画面を集中して見続ける行為は、想像以上に疲労を伴います。そのためオンライン学会には全体の開催時間が長くならないようにまとめたり、1つのプレゼンテーションの時間を短くまとめる進行にしたりする工夫が必要です。このように開催時間や進行の手順もリアル開催とは異なることに加え、コミュニケーションを円滑にするツールや参加者を飽きさせない工夫、配信用の機材なども必要です。
そもそも、前提としてオンライン配信そのものに対する知識やスキル、ツールの使用方法なども理解しなくてはなりません。もし、ノウハウや機材などが不足している場合は、オンラインイベントに精通したプロのサポートを受けると安心でしょう。
弊社ではオンラインイベントの”裏側”を分かりやすく解説したホワイトペーパーも準備しています。
「EXPOLINE」ならオンライン学会の開催もスムーズ!
オンライン学会は機材の準備や撮影、配信、トラブル対応など、従来とは異なる対応が必要です。環境準備や実施に不安が残る場合はオンラインイベント向けのプラットフォーム「EXPOLINE」を利用しましょう。
EXPOLINEには申込から視聴、アフターフォローに至るまで対応できるすべての機能が備わっており、動画撮影やライブ配信までワンストップでプロに任せることが可能です。イベント要件に合わせて運営会社が準備を進めるため、主催者は学会の構成や進行など本来の作業に集中できます。
またEXPOLINEはカスタマイズ性も高く、自社オリジナルなオンラインイベントを実現したり、ユーザー毎に表示されるコンテンツを変更したりすることも可能です。データ活用にも強みがあり、データ検索や参加者情報・ログデータダウンロード機能など、主催者が必要とする形でのデータ活用を支援致します。
まとめ
オンライン学会にはコスト削減や参加者増加など、リアル開催では得がたいさまざまなメリットが期待できます。その一方で従来とはノウハウが異なるため、はじめてのオンライン学会は戸惑う場面が多くなるでしょう。ノウハウが不足していて開催が不安な場合はEXPOLINEを活用するのがおすすめです。EXPOLINEのサービスについて詳しく知りたい方は、お気軽に資料請求してください。