海外で盛り上がるオンラインイベント ~その種類や手法について~

コロナ禍が完全に収束する兆しがなかなか見えず、あらゆる企業が「新たな生活様式」への適応を迫られています。
こうした困難な状況でもビジネスチャンスを広げていくために、企業の宣伝販促活動におけるオフラインのアプローチはオンライン化することが必要になっています。そうすることで、マーケティング活動を中止や延期することなく進めていくことができるからです。
この流れは国内のみならず、海外でも同様に起こっています。
この記事では日本で楽しめる海外系イベントや、海外で開催されたオンラインイベントについて紹介していきます。
 

海外系オンラインイベントとは

海外系オンラインイベントとは、国内にいながら海外の様々な情報にオンラインを通してアクセスできるイベントのことです。海外への渡航が難しい場合や、多くの人々が密集する事態を避けたいという時に開かれることの多いイベント形式です。まさしく多方面で推奨されている「新しい生活様式」を、企業活動において実践する上でも極めて理想的な方法と捉えることができます。今や海外系オンラインイベントは様々な業種やジャンルで企画されるケースが増えていますが、大まかに「情報収集型」と「体験型」の2パターンに分けることができます。
 

海外で開催のオンラインイベントを紹介

まずは、これまで実際に開催され話題となった海外系オンラインイベントの実例を挙げていきます。コロナ禍で参加者の海外渡航や大多数の人々の密集を回避せざるを得ない状況が生まれ、その代替となりうる企画として誕生したオンラインイベントも含まれています。

ライブ・ウィズ・カーネギーホール

音楽業界やコンサート会場もコロナ禍の影響を非常に大きく受けたジャンルの一つです。世界的に有名なニューヨークのカーネギーホールもその例外ではありませんでした。2020年当面の間の公演中止を発表したカーネギーホールは、困難な状況下でも世界の音楽愛好家に音楽を届けるべく「ライブ・ウィズ・カーネギーホール」と題したストリーミングイベントの開催を決めました。世界トップクラスの音楽家を特集した過去の演奏映像や舞台裏エピソードなど、気軽に視聴しやすい1時間のプログラムとして配信しています。オフィシャルサイト経由はもちろん、インスタグラムなどのSNSからも無料視聴が可能で、音楽ファンにとって満足度の高いオンライン企画となっています。配信日ごとに異なったテーマや音楽家がフィーチャーされ、何度も繰り返し楽しむことができる充実したプログラム構成です。

CES

CES」は、毎年米国ラスベガスで開催されている業界向け電子機器展示会です。個人向けではありませんが、例年数多くの新製品が出品される大規模な見本市として知られており、このイベントもコロナ禍の影響のため初の全面オンラインによる開催が決定。初のCESオンライン開催に際しては、大手企業で独自の動きがそれぞれ顕著に見られました。

例えば、ソニーは自社の公式サイト内に充実したCESコンテンツを展開、パナソニックはCES開催と連動するように日本向けオンライン自社イベントを企画しました。こうした取り組みが目立った背景として、CES側のコンテンツだけに頼っていると特定のフォーマットに縛られてしまい、自社製品に適したアピールを実行しづらくなるという思惑があったと考えられます。さらに、直に製品に触れることができないというオンライン開催CESの欠点をカバーすべく、開発担当者がオンラインミーティングで対応したり、現実に製品を体験するためのスタートアップ展示会を企業側が独自に開催したりするというケースも見られました。

いずれにせよ、各企業はCESオンラインコンテンツだけに依存せず、自社製品ピーアールの入口としてCESを位置付けている側面が強いようです。今後、オンラインCESをより効果的なイベントとして発展させていくために、主催者と企業側双方の工夫がさらに必要となってくるでしょう。

gamescom 2020

ドイツのケルンにおける世界最大規模のゲームイベントとして知られる「gamescom」は、2020年に初のオンライン開催となりました。ゲームメーカー最新作のプロモーションやゲーム開発者のインタビュー、そしてゲームに関するコスプレの発表会などが行われました。コスプレコンテストなどの参加者は単に自身の作品が公開されるだけでなく、オンラインで実際にコスプレ作品のポイントなどをプレゼンする機会も設けられ、審査員らとフランクな対話を楽しむ場面も多く見られました。さらに、どの視聴者もチャットを通じて自分の声をリアルタイムでイベントに届けることが可能です。最近の人気ゲームは、オンライン上で遠く離れた人々が相互に関わり合える作品がほとんどで、そうした点からもgamescomのオンライン型イベントへの移行は極めてスムーズに実践されていたという印象を受けます。

Google Arts & Culture

美術館もコロナの影響で休止や制限付きの入館などの対応を迫られた施設の一つでした。そんな中、美術館とインターネットサービス大手のグーグルがコラボレーションすることにより、「Google Arts & Culture」というサービスが開始されました。これは同サービスに登録された世界各地250ヵ所以上の施設と6千人以上のアーティストの芸術作品をいつでも検索し、臨場感あふれる高解像度クオリティーで鑑賞することができるというものです。さらに、グーグル独自のグーグルストリートビューの技術を活用し、実際に美術館に自分が居合わせているかのように、360度パノラマでの館内の巡回をバーチャル体験することができます。本来、一つの施設を歩き回るだけでもそれなりの時間を要する芸術鑑賞ですが、立地の異なる複数の美術館の作品をいつでも好きなだけ鑑賞できるという、オフラインにはない利便性を享受できるオンライン企画となっています。

SXSW

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)は、毎年米国テキサス州で開催されている音楽や映画などの業界人向けの側面が強い大規模イベントです。元々は音楽祭として始まった歴史があり、日本での知名度はあまり高くないものの、映像や音響関連のテクノロジー見本市としても年々影響力が増し、例年多くの有名IT関連企業なども参加しています。2020年はコロナ禍のため中止となってしまいましたが、2021年には初のオンラインでの開催が決まりました。開催前より、SXSWの看板である映画祭への応募や、実施セッションを一般投票で決める取り組みなども進められています。応募企業にとっても画一的な展示だけに止まるのではなく、独自のプログラムをホストするなどカスタマイズ性の高いイベント参加が実現できるよう工夫が施されています。

 

情報収集型の海外系オンラインイベント

それでは、特に情報収集型という特色を持つ海外オンラインイベントを紹介していきます。情報収集型オンラインイベントとは、多くの人が密集する形式での開催が難しい中、オンラインで海外情報を収集、質疑応答などができるイベントです。

オンライン海外ビジネスEXPO

2020年に東京で開かれた海外ビジネスEXPOは、オフラインとオンラインのハイブリッド形式で開催された海外ビジネス情報収集のための総合展示会です。オンラインにて出展各企業のセミナーや紹介動画を、細かな検索機能を利用しながら効率良く見つけることが可能です。出展企業のページから資料ダウンロードやメッセージ送信ができるほか、ネットワークを広げたい企業や専門家宛てにリクエストを送り、オンラインミーティングを実施することもできます。

2020年に東京で開催された分は、オンラインとオフラインでほぼ半分ずつの来場者数を記録しており、各々の参加者がロケーションなどの都合に合わせて、柔軟に参加方法を選択することができた実態が読み取れます。オンラインとオフラインそれぞれのプラットフォームが補完し合ってビジネスネットワークを形成することで、コロナ禍により分断化が進みがちな社会的状況をうまく乗り切っていきたいという想いも、このハイブリッド型イベント開催の礎となったそうです。

オンライン留学説明会

留学説明会に関しても、海外情報を必要に応じて収集できるイベントとして積極的にオンライン開催される傾向にあります。留学説明や留学準備のためのガイダンス、さらに個別カウンセリングまで、現地の説明会に出向くのとほぼ変わらないクオリティーで実施できるというのが大きな魅力です。もし一般的な留学ガイダンスを知りたいのであれば、常時配信されている情報に好きな時にアクセスできます。また事前に留学カウンセリングを予約しておけば、担当者と1対1で込み入った内容まで相談することが可能です。さらに、海外の大学が主催する留学ガイダンスなどにもオンラインを通じて参加、現地の担当と対話によるコミュニケーションを図ることができます。こうしたケースでは、より信頼性の高い情報を海外在住の人々から直接収集できるため、オンラインならではのメリットが特に活かされる部分と言えるでしょう。
 

エジプトのイメージ写真

体験型の海外系オンラインイベント

次に、主な体験型の海外オンラインイベントを紹介していきます。体験型オンラインイベントとは、コロナ禍などで海外渡航が制限される状況下で、オンラインを駆使して利用者が実際に海外に行っているかのような体験ができるイベントです。

オンライン海外旅行

気候が良くなっても、時間にゆとりがあっても、なかなか自由に旅行に行けない状況が長く続く中、最新の映像技術やインターネットを駆使して海外旅行に出かけているかのような体験をしてもらおうというのがオンライン海外旅行サービスです。オンライン海外旅行は、物理的な限界もあり、実際の海外旅行とは異なってしまう部分も多々ありますが、1000円程度のほんのお小遣いからでも参加できるという気楽さが魅力です。現地に詳しいガイドの説明をビデオチャットで受けながらツアーに参加できる上、ウェアラブルカメラを使用した企画では、まるで自分が町歩きをしているような気分を味わえます。もちろん、海外の大自然や有名遺跡まで探索することができますし、現地在住者の買い物ツアーなど日常感溢れる暮らしを疑似体験することもできます。その性質上オンラインツアーへの参入障壁は低く、サイトには多種多様なお気楽旅行パックが出品されており、どんな内容をチョイスするかはその時の気分で自由自在です。

オンライン海外旅行なら1時間程度で企画されているものが多いため、ちょっとした息抜き気分で旅行に参加しても全く問題ありません。そして、代表的絶景スポットの朝から夜まで異なった時間帯の様子を、短時間で凝縮して楽しむことができるツアーも用意されています。いくら絶景スポットとはいえ、実際の旅行で長時間そこに止まっているのは現実的にはなかなか難しいもの。オンライン海外旅行の利点をうまく活かして、場所や時間に縛られず異国の地を楽しむ方法が確立されつつあります。

バーチャル留学体験

先程はオンライン技術を活かした海外旅行の話でしたが、ほぼ同じ仕組みを利用して海外での留学生活を疑似体験できるサービスがあります。それがバーチャル留学体験と呼ばれるものです。海外留学もコロナ禍の影響で長期間足踏みを余儀なくされているビジネス分野の一つです。しかし、現地での授業はオンライン配信を利用することでリアルな様子を提供できるほか、VR動画を通じて、現地学生のキャンパスライフをより身近に感じることもできるでしょう。360度対応のVRカメラによって、キャンパスの外観や校内の様子なども細部まで自由に閲覧、質の高い留学疑似体験が期待されます。海外留学生の流入が減っているという事情から、スクール側のオンラインサービスへの工夫や品質は今後ますます充実していく傾向にあるでしょう。

また、従来より日本の学生は、夏休みの期間を利用して海外のサマースクールなどに通うケースが目立ちました。ただ、実際に渡航しづらいコロナ禍にあっては、オンライン形式で留学生としての授業を一貫して受講できる「オンライン留学」という方法が注目されています。中には、1週間程度の短期間の受講ができる学校もあります。
他にも海外の大学系列のインターナショナルスクールにオンラインで通うことで、大学の単位を取得できるというプログラムも出てきています。実際に通うことが前提だったサービスや体験を、全てオンライン上で受けられるよう転換し、国内にいながら実際の海外留学と変わらない恩恵を享受できる環境が整ってきています。生活費を含めたまとまった出費や、各種申請など多方面の準備が必要だった従来の海外留学ですが、本格的なオンライン留学の誕生により、海外留学がより身近なものへと変わりつつあるようです。
 

オンラインを活用した海外への視野は今後不可欠

新しい生活様式では、従来のオフライン型イベントに固執していてはどうしても困難な状況が続きます。しかし、オンラインイベントを活用すれば、現状維持どころか新しいビジネスチャンスさえ広がっていくでしょう。オンラインによって物理的距離というビジネス上の障壁を解消することも可能です。海外へも視野を広げ、ビジネスの可能性を模索することがますます重要となってきています。

 
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