リアル展示会VSオンラインセミナー ~費用対効果で検証するこれからのマーケティング施策とは~

今回はインターパーク社(以下IP)COO 高井氏と博展グループ会社のスプラシア(以下SP)代表 中島が、リアル展示会の”今”とオンラインセミナーの”実態”を徹底解剖!

BtoBマーケター必見!展示会市場の実態から費用対効果、予算を配分のポイントまで網羅的にお話しします。

 

 アジェンダ

 スピーカー紹介

 実際、今の展示会ってどうなってるの

中島(SP):

インターパーク様はコロナ前から非常に多くの展示会に出展されていて、第三波が来る手前の展示会にもご出展をされていましたよね。
人の入りや中身の性質、出展社数であったり、様々な角度の議論があると思いますが、現在の展示会についてどのように感じられていますか?

 

高井(IP):

ここ1年の展示会の動きでいうと4回の展示会出展を計画していました。
直近のITWeekについては延期になってしまいましたが計3回展示会に出展しましたね。
マーケティング的なTipsをnoteで発信させてさせて頂いてたりするので、そちらでも展示会の様子がわかるかもしれません。

コロナ禍の展示会ってどうなってるの?出展してみたので速報レポートを書く

実際に出展した展示会では、コロナ禍前と比べて来場者数は2~3割まで減少している印象でした。
ただ、リード獲得数はコロナ以前とほぼ変わっていません。
我々が展示会出展するときは1.5~2小間くらいの小さなコマで出展するので、
ソーシャルディスタンスを確保する関係上、来場者を入れきれないシーンはありましたね。
医学的な視点は抜きにして、マーケティング視点考えれば、展示会というチャネルはコロナ禍においてもアリだなと感じています。

 

中島(SP):

全体の来場者は少なくなっていても直近で解決したい課題がある人が多いなど、リードの質が高いということでしょうか?

 

高井(IP):

そうですね。受注数の伸びも比較的良かったです。
今までの展示会は“ふらっと立ち寄った”来場者の数が多かったのですが、今は明確に課題感  / 目的をもって来場するケースが非常に多くなりました。
マッチング精度が今までの展示会よりかなり高くなっていますね。

 

中島(SP):

インターパーク様はコンパクトに出展をし、高い成果を出している印象があるのですが、周りの出展コマはどうでしたか?
来場者数が2~3割というのは大きいコマでご出展をされている企業にとってはかなりリスクにつながってくるのかなと感じますが。。。

 

高井(IP):

結論から言うと、大きなコマはやめておいたほうがいいかなと思いますね。
来場者の絶対数が足りないので、大きいコマではスペースを持て余してしまうと思います。
展示会出展するのであれば小さいコマ数で頻度よく出展するのが今年いっぱいはオススメかなと感じていますね。

マーケティング全体としてはどうしてもオンラインに人が寄ってきているので展示会は逆バリの施策かなと思います。
なので、メインはオンラインに予算をかけつつ、展示会は小さな規模の出展で数を打っていくのが良いかなと思っています。

 

 リアル展示会の普遍的な価値とは?

 

高井(IP):

人にどうしても会いづらい状況がある中で、“人と人とが会う価値が高まる”のはどの分野・どのシーンにも言えることだと思います。
そういった意味で展示会というリアルなマッチングの場は、その価値が高まっていくだろうなと。
オンラインではコミュニケーションがどうしても浅くなってしまうので、深く掘るという点で展示会というマーケティングチャネルはとても効果的だと考えていて、
出展側としても様々な情報を深く伝えることができますし、参加者側もオンラインとはまた違う、濃い情報を生のコミュニケーションで得られるということがとても価値の高い状態だと感じています。

中島(SP):

価値が高まるのと同時に、出展側は“価値を高める”努力もしなくてはいけないですね。

 

高井(IP):

そうですね。そのためにはオンラインとリアルの特性をしっかり理解し、適切な方法で活用しなくてはいけません。
オンラインでは、データを小分け且つ頻繁に提供してコミュニケーションをとる方法が効果的。コンスタントに接点を持ち続けることで、自分(自社)というものをよく知ってもらうことが可能になります。

対してリアルの場合は、顔を合わせてコミュニケ―ジョンが取れる分、一度で自分という人間や自社の商品について詳しく知ってもらうことができますよね。

“価値を高める”という観点でいうと、リアルとオンラインでコミュニケーションの特性が違うことを理解してチャネルを再検討 / 再構築する必要のかなと感じています。

 

中島(SP):

展示会とオンラインでは特性が異なるため、そこを見極めながらコミュニケ―ションの設計をすることが大事ということですね。

 

高井(IP):

今まで展示会は、一方的な発信という広告的な印象が強かったのですが、どちらかというとSNSのようなコミュニケーションの考え方のほうがフィットすると感じています。
展示会の在り方自体が、コミュニケーションの場に変容していくのだろうなと。

中島(SP):

ある展示会では主催企業がレギュレーションに商談スペースを設けることを記載していたりもしますが、
Withコロナの今は、長時間コミュニケーションをとることは感染のリスクもありますし…
どうやって効果を出すべきなのか悩まれていらっしゃる方も多いのではないですかね。

 

高井(IP):

BtoBマーケティングにおいては、接点数が最も重要かなと考えています。
展示会で社員と話したということは、たとえそれが1分という短い時間だったとしても1つの接点になり得るかと思っていて、
コミュニケーションの塩梅(量)は社会情勢を見ながら調整すべき内容なので、Withコロナとafterコロナによってその扱いは変わってくるのかもしれません。

 

 展示会の費用対効果はどう見るべき?

 

高井(IP):

展示会の費用対効果は、長期的な視点で見たほうが良いのいうのが前提かと思います。
弊社の出展効果についてもnoteにまとめているので見て頂ければと思います。

展示会に出展して5〜6年後の費用対効果とか案件の状況は一体どうなっているのか?解説しよう。

展示会は、マーケティングのチャネルで考えると効果を出しやすいものだと思っています。
やはり、人が動けるマーケティングチャネルは1番リッチなんですよね。
展示会は人が動いて説明したり臨機応変に対応したりできるため、他の商品と比較した自社の商品の詳細な魅力を訴求しやすいのです。

 

中島(SP):

効果が出しやすいというお話しがありましたが、
インターパーク様の出展効果を拝見するとコンパクトに出展をしつつ、しっかり効果を出されていて、
非常にお金を上手に使われているなという印象があります。
経営者視点でいうと効果が出やすいのであれば、もっと予算をかけようという判断もあるかと思いますが
費用とのバランスをどのように考えてらっしゃいますか?

 

高井(IP):

弊社では2小間以上の出展はしたことがないのですが、0.5小間→1.5小間に拡大しても効果は変わらない気がしています。
10小間以上の大きなコマになると変わるかもしれませんが、一定のレンジ内では変わらないと思っていますね。
では、1小間分大きくしたことが無駄なのか?というとそのようには考えていなくて、
1.5小間程度以上の規模で出展をすると、ちゃんとした企業という認知をして頂くことができるのでブランディング(イメージ獲得)ができると考えています。

マーケティングにはリード獲得 / イメージ獲得の2種類の考え方があって、
これは持論なのですが、ブランディング(イメージ獲得ができると顧客単価を上げることができと考えているため、
リード獲得の場合は0.5小間程の小さい小間で、イメージ獲得の場合は最低1.5小間以上で出展するなど、その目的に合わせて使い分けをしています。


 

中島(SP):

実は展示会の効果を短期的に出していくことは難しく、インサイドセールス / MA / 他のマーケティングチャネルを絡めたフォローが前提であり、長期的な視点が必要だということですよね?

 

高井(IP):

これは完全にセットですね。

 

中島(SP):

そのうえで、リードチャネルを重ねて受注に近づけることが重要ですね。
オンライン / リアルに関わらず、なるべく多くの接点をクライアントと作るべきなのですね。

 

高井(IP):

バント効果で受注に至ることも結構多いです。
ウェブ問い合わせから展示会に参加いただいて、そのあと受注に至ったとか。
頭をやわらかく、様々な手法を活用することが大事ですね。
点数を重ねていけば案件化を押し出していけると思います。
今の時期は接点をいろんなところで重ねるのが得策だと思いますよ。

 オンラインセミナー成功の秘訣に迫る!インターパーク社におけるオンライン施策の捉え方とは

 

中島(SP):

ここまでリアル展示会のお話をしていただきましたが、ここからはオンライン側のお話をお伺いしていきたいと思います。
高井さんは多くのウェビナーにご登壇をされていると思いますが、どのような考え方のもと実施されていますか?

 

高井(IP):

ウェビナーにはブランディング系 / マーケティング系の2種類あります。
今回ご紹介するのはブランディング系のウェビナーと定義しています。

ウェビナーを開催するときはメディア的な視点を意識しています。
テレビマンとして働いていた経験を活かして、ニッチメディアとしてのウェビナーを企画。
1つのテーマを立て、それにまつわる方々を集めたトークセミナーを基本に企画を設計していますね。


<BtoBマーケティングのチャネルにおける各ウェビナーの役割>

 

中島(SP):

インターパークが開催するウェビナーはコンテンツとして質が高く、とても面白いウェビナーが多いなと感じてます。
ブランディング系ウェビナーにおいて、成果の計り方ってどのように考えていますか?

 

高井(IP):

正直ブランディング系のウェビナーはたくさん見てもらえればいいかなと考えています(笑)

 

中島(SP):

なるほど(笑)
それではKPIを設計していないということでしょうか?

 

高井(IP):

ウェビナーではマーケティング的なKPIは決めていないですね。
当然、営業のフェーズではフォローのKPIなど設けていますが。
ウェビナーは、1000~2000人集客して受注数1という程度だと考えていますし。

 

中島(SP):

先ほど「メディアの視点」というお話がありましたが、具体的にお話しいただけますか?

高井(IP):

“メディアの方を巻き込んでやる”ということは意識して実行していますね。
以前セミナーを開催した際は、メディアの方にウェビナーを取材して頂き、作成いただいた記事をNews Picksにもっていきました。News Picksでも400pickくらいついたかな?
ウェビナーを単純に実施するだけではなく、開催後の波及効果を狙っています。

 

中島(SP):

なるほど。
メディアに出稿されてからお問い合わせにつながるまでのスピード感は早いですか?

 

高井(IP):

いえ、すぐリード化したい、すぐに受注したいという視点ではあまり効果が上がらないため、やる意味が本当にあるのかな?と思ってしまうかもしれません。
そこでウェビナーをやめてしまう企業が多いようにも感じます。
我々はブランディングの文脈でメディアを活用しているので、リードの獲得というより認知の獲得が目的であり、顧客単価を上げるために活用していますね。

 

中島(SP):

確かに、BtoBマーケティングにおいてもブランディングの視点は重要になりますね。
そういえば、高井さんはTwitterでもキャンペーンをされてましたよね。

 

高井(IP):

BtoBマーケティングでTwitterをどう活用するかを検討する中で、変化球の施策としてTwitterキャンペーンを行ってみました。
「RTで資料配布します」というキャンペーンを頻繁に行っているのですが、今回はそれとウェビナーを掛け合わせてみました。
BtoBマーケティング各論まつりという手法に特化したウェビナーを実施したときの話なのですが、
ウェビナー前に「BtoBマーケティングってどういったものなの?」という事前知識をまとめた資料を作成し、RTしてくれた方にDMで資料を送付。
DMで「ウェビナーに来てね」というメッセージを添えていましたね。
950RTをいただいて、50~70人くらいの集客につながりました。

インターパークでは、ウェビナー / Twitter / PRをそれぞれ単独で行うのではなく全て繋げています。
例えば、僕はよくnoteを書くのですが、それをそのまま営業活動としてメディアに持っていきます。
メディア側もリソースが足りていないことも多く、記事にして下さることも多いですよ。
ウェビナーで行った集客方法を「ウェビナーで700人集客した方法」とnoteで紹介するなど、ずっとぐるぐる巡らせている感じですね。

 

中島(SP):

巡らせながらも、効果 / 成果を長期的に考えていくことが重要なのだと思いました。
受注したデータを確認すると、“ウェビナーに3回参加してから受注”といったパターンも多くあります。
いろいろなチャネルで接点数を多く持つと、案件は押し出されてくるのかもしれませんね。

 

 オンラインイベントはリアル展示会の代替になり得る? 

 

高井(IP):

MQL(Marketing Qualified Lead) / SQL(Sales Qualified Lead)という言葉がありますが、
ここ1年で感じているところとしてはMQL手前のMQL、SQL手前のSQLなど、リードの質がさらに細分化されていると感じています。

展示会はどちらかというとMQL 、もしくはSQLにそのままなる場合もありますね。
対してオンラインイベントはMQL の手前のMQLが多いと思います。
つまり、オンラインの施策はリードをたくさん集める役割になりますね。
展示会よりも予算をかけずに、そこそこ頻度よくオンラインイベントに参加できる状態を作ることができたら、展示会とオンラインイベントはうまく機能するのではないかと考えています。

私はオンラインイベントというとウェビナーのイメージが強く、オンライン展示会にまだ参加したことがないのですがオンライン展示会って実際どうなんですか?

 

中島(SP):

オンライン展示会も同様に、出展で得たリードに対して営業をかけに行くのですが、リアル展示会に比べると次につながる割合が低いのが現状です。
リードの数は取れますが、次につながりにくいという課題があるのかもしれません。
ウェビナーと展示会のちょうど真ん中がオンライン展示会のポジションなのかな、と思っていますね。

 

高井(IP):

なるほど。
では、オンライン展示会と展示会ってどうやって使い分けていったらいいのでしょうか?

 

中島(SP):

オンライン展示会自体がまだ決まった型を確立できておらず、主催者も出展社もまだ成功法を見極められていないのが現状ですね。
個々の展示会のリード提供のおけるルールを見極めて出展をしていかないと損するものもあれば、逆に想像以上のリードが取れることもあったりと…判断が難しいところですね。

対して、ウェビナーと展示会の組み合わせは成功事例が出ててきていますね。展示会ブースでデモをしている様子を撮影しコンテンツ化してしまい、「アフターウェビナーやりますよ」とすると網羅的にリードが取れる。
このように展示会という施策をコンテンツ化してウェビナーを行う“ハイブリットと呼ばれる形での成功事例は徐々に出てきていると思います。

 

高井(IP):

少し話がズレてしまいますが、Twitter等のデジタルマーケティングは、コンサルティングとかHRなどの無形商材との相性がいいなと感じています。
そのまま売り上げにコンバージョンできる場合もあるなと。
対して製造業とか食品関係などの有形商材は相性がイマイチなのではないかと感じました。
ウェブはチャネルによって相性が顕著に分かれますからね。

 

中島:

そうなんですよね。
どうやってアプローチできるかを我々としても考えていきたいと思っています。
例えば、食品系のメーカー様であれば、参加者に事前にサンプルを送付し、そのあとにセミナーを行うという形にしてみたり、製造業様では主催者が出展者の製品をしっかりキュレーションしてあげたり。
普段プロダクトアウトで謳っていることを違う目線 / 切り口で参加者に伝えることでオンラインコンテンツの価値を高めようとしています。

 

高井(IP):

なるほど。プロの介入余地が数多くありそうですね。

 

 リード獲得から受注までのチーム作り

 

中島(SP):

リード獲得から受注までのそれぞれのフェーズでオンラインの介入が起きています。
それに伴い、企業内のマーケティング / インサイドセールス / フィールドセールスは組織の在り方から変わってきたと感じていますが、インターパーク様としてはどのように感じていますか?

 

高井(IP):

ここ1年くらいの変化という点で言うとオンラインシフトはかなり急激に進行しているので、状況の変化が起きているのは間違いないでしょう。
最近、インサイドセールスと対面営業は同質化してきており、明確な区分けが難しくなっていますね。

自社の製品やプロダクトに応じて役割分担をしっかり決めていくか、役割分担をせずに一緒にやっていく必要があると考えています。
また、今までひとくくりで捉えられていたMQLですが、オンラインシフトによって“MQL”と“MQL手前のMQL”に変容しています。
見込みランクとかっていう次元ではなく、ウェビナーの参加者と展示会参加者は種類が全然違うので、アプローチを変えなければならないと思います。
オンラインシフトでリードはたくさん獲得できるようになったけれど、その属性が複雑化したということを念頭に置くべき。
アプローチを根本から変えて最適化することが必須です。
どこからがマーケティングでどこからが営業か、認識を共通化していく必要があるでしょう。

 

中島(SP):

見込み顧客の需要が細分化していることを社内の共通言語として認識し、各々の役割でアプローチしていくことが重要ということですね。

 

 アフターコロナにおける予算のかけどころは?

中島(SP):

最後に最も気になるであろう“予算”についてお話ししていきましょう。

 

高井(IP):

マーケティングの予算(コスト)の捉え方は“お金”と“コミュニケーション”の2種類あります。

BtoBマーケティングは“お金”のイメージしかないと思うんですが、昨今は“コミュニケーション”の需要が高まっています。
Twitterとか見ているとBtoB界隈の人がすごく集まってきていますよね。
ここに対して“お金”を投下してどうこうということではないと思うので、“コミュニケーション”をとってなんぼという話かなと。
例えば展示会は“お金”と“コミュニケーション”の両方が必要ですが、一方でSNSは“お金”ではなく、“コミュニケーション”を投資して活発化しています。
ですから、BtoBマーケティングの全体も予算を“お金”だけだと考えず、労力を含む“コミュニケーション”も投下するという意識で予算配分を組む必要があって、
チャネルごとにお金とコミュニケーションの割合を加味しながら予算を決めていくべきだと感じていますね。

具体的な話として、インターパークのウェビナーでは“お金”を投下して実施したことは一度もないんですよね。
集客で広告を使ったりということもないですね。では、どうやって集客しているかというと
メールマーケティングやSNSを使っていて、SNSの中で“コミュニケーション”を原資に集客を図っています。
BtoBマーケティングにおいてもコミュニケーション設計はとても重要です。

 

中島(SP):

マーケターに求められる役割が増えているのですね。

 

高井(IP):

予算はお金だけではなく、コミュニケーションも加味なければいけないですからね。
難易度は高まっているかもしれません(苦笑)

 

中島(SP):

本日はオンラインイベントとリアル展示会というテーマでお話を進めていきました。
高井さん、本日はありがとうございました!

 


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